会社設立にはメリット・デメリットがある

インターネットの普及により、いろいろな人がさまざまなビジネスに参入しやすい時代になりました。一国一城の主として、自分で独立して仕事をする人が増えています。しかし、いきなり会社を設立する人は少ないかもしれません。「起業しよう!」と思ったはいいものの、最初は個人事業主としてビジネスを行うことがほとんどでしょう。でも、ある程度の規模になったら、法律上の会社にすることも選択肢に入ってくるでしょう。つまり、会社の設立を行うということです。そこで知っておきたいのが、会社の設立を行うことのメリットとデメリットです。一体どんなことが挙げられるのか、会社設立のプロセスとともに見ていきましょう。

 

「さあ、会社を立ち上げよう!」その時にやることは?

自分のビジネスがある程度軌道に乗ってきて、会社を設立して大きくしていこう!と考えたとします。そうなった場合、一体何から手を付ければいいのでしょうか。ここでは会社設立のプロセスをご紹介します。

1.会社の種類を決める

会社を立ち上げるにあたっては、「どんな種類の会社を作るのか」ということをはっきりとさせないといけま せん。日本の法律では、社員(会社に資本金を出す人、という意味です。)の責任のあり方によって、いくつか会社の種類がわかれています。ここで、設立件数が多い 会社を二種類、ご紹介します。

・株式会社

細分化された社員の地位である株式を有する株主から有限責任(出したお金の分しか責任を負わない、という意味)のもとに資金を調達して、事業を行う会社。

・合同会社

2006年の商法改正で導入された新しい会社の形。有限責任であることは株式会社と変わらない。しかし、株式会社と違うのは、定款(会社の重要事項を定めたもの)に定めれば、会社の構成員以外にも利益や権限を分配できる。また、「合同」と書いてあるから1人では設立できないと思われるかもしれな いが、現実的には1人でも設立が可能。

2.法人登記

必ずしなければいけないのが、「法人登記」です。会社登記とも言われています。

まずは「法人」という言葉について説明します。法人とは「自然人(=人間)ではないけれど、法律上の権利義務の主体となれる地位」を言います。

具体的な例を考えましょう。会社は商売をしていく中で、物をもらったり、お金を払ったりします。これは人間でもできることです。つまり、「人間ではないけれど、人間と同じように権利や義務を持っているもの」と考えるとわかりやすいかもしれません。

ただし、自然人には認められていても、法人には認められない権利があることも押さえておきましょう。わかりやすい例でいえば、結婚です。人間は好きな人を見つけたら結婚できますが、会社はできません。

会社は法律では「法人」となっています。そこで、会社を立ち上げた場合、法人として扱ってもらえるようにしなければいけません。法人登記はそのための手続きなのです。

法人登記の手続き自体は簡単です。設立したい会社の種類ごとに手続きは異なってきますが、基本的には自分が会社を立ち上げる住所を管轄する法務局に行って、登記官の方に法律で定められた事項を登記簿に記録してもらうことで行います。これだけで、会社登記は完了するのです。

 

会社設立は一長一短

本題に入ります。株式会社であれ、有限会社であれ、会社を設立するにはメリットもデメリットもあります。これからその両方についてご紹介します。

1.メリット

会社設立のメリットは以下の4点です。

・信頼が増す

会社が設立できる、ということはある程度法的にビジネスをする要件を備えている、ということの証明となります。たとえば、銀行からお金を借りるときは、断然会社として申し込んだほうがいい結果になります。

・税金上のメリットがある

一つ例を挙げましょう。個人事業の場合、収入が多ければ多いほど、税金は高くなります。この場合、所得税がかかるのですが、所得税の税率は収入が多いほど高くなるからです。あまりに収入が多いようだったら、法人化すること=会社にすることを考えましょう。

・決算月を決めることができる

個人事業主の場合、1月1日から12月31日までの収入を元に課税されます。しかし、法人は決算月を自由に決めることができます。これにより、計画的な経営が可能になったり、節税効果があったりするなどのメリットが生じます。

・事業に対する自信の覚悟が生まれる

会社を設立するには、登記などに費用がかかります。決して安くありません。そこまでして自分のビジネスに責任を負うことになりますから、「自分がしっかりしないといけない」という自覚が生まれます。

2.デメリット

会社設立のデメリットは以下の3点です。

・赤字でも税金を払わなければいけない

個人事業主の場合、赤字なら税金は払わなくても大丈夫です。しかし、会社設立をした場合、法人都道府県民税均等割、法人市町村民税均等割の2つの税金は何があっても払わないといけません。

・社会保険への加入をしなくてはいけない

法人化した場合、健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられます。そのときの保険料が国民健康保険と国民年金に比較して割高になるのです。なお、これらの保険料は会社と従業員が折半する形になります。

・事務負担が増す

会社にするということは、やらなければいけないことが増える、ということです。会計処理は会社法にのっとった形で行うことになるし、法人税など税金の申告も個人事業主に比べるとずっと複雑です。