初対面の人から自己紹介を受けたときに、「○○の経営をしています」のような話を聞くことがあります。そのとき、「○○の経営をしている人なんだ」と何となく納得してしまいますが、その人が日々どんな仕事をしているのか本当に理解できていますか?そもそも、経営ってなんでしょうか?

1.経営とは価値を創造すること

広辞苑の解説の一部を引用すると、経営とは「継続的・計画的に事業を遂行すること。特に、会社・商業など経済的活動を運営すること」とあります。国語の解説としては正しいのだと思いますが、今ひとつピンと来ません。
また、様々は有識者達が「経営とは○○である」のような要約的な発言をしています。そして、○○の中には、マーケティング・マネジメント・人材育成等の色々なキーワードが入ります。
何が正解なのでしょう?おそらく唯一の正解は無く、それらの総体が経営なのです。

個人事業主と中小零細企業と大企業では、経営と呼ばれる要素それぞれの比重は異なります。同様に、業種や提供するサービス・商品等によっても異なるでしょう。
唯一、全ての事業の態様で共通するのは、「価値を創造する」ということではないかと思います。経営とは、「継続的に価値を創造するための経済的な活動の全て」なのです。
価値を生まない活動であれば、事業のための元入金や出資金等をいつしか食い潰して事業は終わります。
上述したマーケティング・マネジメント・人材育成等は経営そのものではなく、創造する価値を最大化するために重要な方策を列挙したものに過ぎないと言えるでしょう。

2.経営者が創造する価値

ここで、経営者が創造する価値とはなんでしょう?価値というのは主観的なもので、立場によって異なるものです。
経営者が事業を通じて提供している商品やサービスに対価を払う顧客が満足・納得すれば、対価に見合う価値があったということになります。経営者が事業を運営するために従業員が必要であれば、労働を提供したことによって給料を得られるということが従業員にとっての価値です。また、事業に対して出資をしている株主等にとっては、出資をした事業から得た利益の一部が配当されることが価値だともいえるでしょう。更に、それらの結果として経営者の報酬が支払われれば、それが経営者にとっての価値となります。

3.まとめ

以上、答えの無い問答をしたようにも思えますが、「経営」とは「経営者」によって定義が異なるともいえます。
従業員のモチベーションを上げ、従業員を1つにまとめるのが経営であることもあれば、潜在的な市場のニーズを顕在化させ具体的なサービスや商品にすることが経営ということもあります。その一方で、多数派としてのニーズに左右されることのない伝統工芸的な技術を引き継いで、従業員を雇用せず個人事業をしている経営者もいます。

「誰に」「どんな価値を」提供するのか、その結果として経営者である自分が受ける価値とは何か?を日々悩み、悩んだ結果を実行することが経営なのかもしれません。