払込資本金とは、株主が、株式と引き換えに会社に対して支払った金銭や現物のことをいいます。
この払込資本金は、資本金と資本準備金によって構成されます。
以下では、この払込資本金について解説をしてまいります。
払込資本金とは?
株式会社を設立しようとする場合、発起人(株式会社を設立しようとする人たち)は、株式と引き換えに、金銭や現物を会社に出資しなくてはなりません。
この発起人たちが出資した財産が、会社設立時の資本金となります。
そして、このように株主が会社に払い込んだ資本のことを払込資本金といいます。
払込資本金の具体例
例えば、会社設立時の発行株式を1,000株とし、発起人がA、B、C、D、Eの5人であったとします。
設立時の資本金の金額を1,000万円(1万円/1株)、発起人1人につき200株ずつ引き受けるとします。
また、払い込みは全て金銭で行うことにします。
この場合、発起人A、B、C、D、Eは、各200株ずつ引き受けるので、対価として1人200万円づつ、合計1,000万円を株式会社に支払います。
払い込まれた金銭の全額を資本金に計上すると仮定すると、設立時の会社の資本金は1,000万円になります。
この1,000万円が払込資本金です。
資本金とは?
資本金とは、会社が発行した株式を購入した者が、株式の対価として会社に支払った金銭や現物のことをいいます。
なお、会社の株式を購入した者は、購入後は、会社に対して一定の権利を行使できるようになります。
資本準備金とは?
ところで、株式の発行と引き換えに、株主から払い込まれた金額の100%を資本金として計上する必要はありません。
会社法では、会社に払い込まれた金額の1/2を超えない金額については、資本金に計上しないことができると規定しています。
また、同時に、会社に払い込まれた金額で資本金に計上しなかった金額は、資本準備金として計上しなくてはならないとも規定しています。
たとえば、会社に払い込まれた金額が1000万円だとすると、500万円までは、資本準備金として計上することができます。
つまり、株式の発行と引き換えに、株主が会社に払い込んだ資本(お金や現物)のうち、資本金として計上されなかった部分が、資本剰余金であるということになります。
払込資本金はどうしてすべて資本金で計上しないの?
例えば、設立時の株主の払込金額を1,000万円とし、その全額を資本金に計上したとします。
しかし、初年度に会社が300万円の赤字を計上したとします。
すると、その300万円を、資本金の取り崩しにより、埋め合わせをしなくてはなりません。
資本金は1,000万円から700万円となります。
この手続きを減資といいますが、この手続きを頻繁に行うと、会社の信用が落ちます。
取引の停止や銀行の融資がストップしたりします。
そこで、設立時の払込資本のうち、500万円を資本金、残りの500万円を資本剰余金とします。
すると、初年度300万円の赤字が発生しても、資本剰余金を取り崩して対応できます。
資本金や減資があったことは商業登記簿に記載されますが、資本準備金はそれに記載されません。
払込資本金を資本金と資本準備金に分けて計上しておけば、少々の赤字によって資本金が減額することを防止することができます。
まとめ
払込資本金とは、株主が会社に払い込んだ現金や現物のことです。
しかし、払込資本金がすべて資本金になるというわけではなく、半分は資本準備金にすることができます。
払込資本金 ≠ 資本金 であることは覚えておきましょう。