年末調整と確定申告の違いは?
私の知人の住んでいる地域には、大きなコンサートホールにもなる施設があります。その施設では、2月の中旬になると「出張確定申告受付会場」として一部が貸し出されます。この例からもわかるように、「確定申告」って結構身近な言葉だと思います。
そして、税金絡みで身近かもしれない言葉をもう一つ。秋が終わり冬に入ると、「年末調整のお知らせ」みたいな書類がいろいろなところから届きませんか?「なんだこれ?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。「年末調整」聞いたことのある方がほとんどではないかと思います。
このように、案外身近な言葉の「確定申告」と「年末調整」。その意味はちゃんとお分かりですか?ここでは、その意味について解説するとともに、知っておいたほうが得する知識もお教えしましょう!
年末調整について
まずは、年末調整からお話しします。年末調整とは、会社など、勤務先となっている事業所等から給与をもらっている人(=給与所得者)が、1年間に支払った給与や源泉所得税について、13月の最終支払日にその過不足分を調整する手続きを言います。
本来、所得税の納税は後に述べる確定申告によって行います。しかし、サラリーマンの皆さんは「あれ、給料から税金ひかれてるぞ!」と思ったことがありませんか?これは源泉所得税と言って、給料から所得税を差し引き(これを給与天引きといいます)、会社が代行してまとめて所得税を納税しているということです。年末調整は、この金額の調整を行うことで、確定申告を不要にする手続きなのです。
確定申告について
確定申告とは、個人が暦年(1月1日から12月31日まで)を課税期間として、その間のすべての所得を計算して所得税をいくら払えばいいのか計算し、申告する手続きを言います。主に、自分でビジネスをしている個人事業主はこちらを使います。
先ほど述べた年末調整では、「所得税=給料から天引きされるもの=先に払うもの」でした。しかし、確定申告では「所得税=自分で計算するもの=後で払うもの」という歴然とした違いがあります。
給与所得者でも確定申告を行ったほうがいいケースとは?
さて、今までの話を総合すると「年末調整=給与所得者(サラリーマン)のためのもの」「確定申告=個人事業主(ビジネスオーナー)のためのもの」という構図が見えてきます。しかし、給与所得者でも確定申告を行えば、「還付金」と言って、税金が返ってくるケースがあるのです!
これはどういうことかというと、「控除」と言って、所得税を計算する基礎となる金額(これを「所得」といいます。)から差し引ける項目があるためです。つまり、この項目に該当するものを計算し、申告すれば、「還付金」という形で税金が返ってきます。代表的なものを挙げておきましょう。
医療費控除
お医者さんにかかったときの領収書、とっていますでしょうか?一緒に暮らしている(=生計を一にする)家族の医療費を合計し、申告することで税金が還付される場合があります。合計が10万円を超える部分から200万円までの部分が対象となります。対象となる医療費は、病院やクリニックで受けた、保険適用の治療、と覚えておくとわかりやすいでしょう。
生命保険料控除
生命保険に入っている人はチェックしておきたいところです。詳しくは国税庁のホームページ「生命保険料控除」に譲りますが、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払っている場合、年間払込保険料額に応じて、一定の金額が控除できます。
住宅ローン控除
「今年、家(マンション)を購入した」という人は必見です。一軒家、マンションなどを買うときにローンを組んだ人は、一定の金額を所得から控除できます。ただし、確定申告が必要なのは1年目だけで、2年目以降は年末調整の手続きで基本的には大丈夫です。
ここで挙げた以外にも、所得税には様々な控除項目があります。使えるものは徹底活用して、賢く税金を払いましょう!