日本の人材派遣会社の数は約6万5千社といわれています。
アメリカの派遣会社の数は約2万社、イギリスは約1万6千社、ドイツは約1万4千社となっており、世界中で日本は断トツで人材派遣会社の数の多い国となっています。
今回は、この人材派遣会社の設立の手続きについて解説します。
人材派遣業の許可を受けるための要件について
人材派遣会社を設立する場合には、一般の会社を設立する場合と異なり、人材派遣業を営むための厚生労働省の許可が必要になります。
そして、この許可を受けるためには、以下の2つの要件が必要になります。
- 派遣元責任者講習を受講すること
- 2千万円程度の資金があること
それぞれ見ていきましょう。
1,派遣元責任者講習を受講すること
労働者派遣事業許可を受けるためには、派遣元責任者講習を受けなくてはなりません。
派遣元責任者講習とは、公益財団法人・全国民営職業紹介事業協会などが行う講習会のことです。
派遣元責任者講習は、全国主要都市で2〜3ヵ月ごとに1回(東京では月2〜3回)ずつ行われます。
時間は1日6時間程度で受講費用は約1万円です。
なお、受講予約から実際に受講できるまでに数カ月の期間を要する場合もありますので、受講申し込みは早めに行くことをオススメします。
2,2千万円程度の資金があること
一般の会社を設立する場合には、資本金に関する制限はありません。
しかし、人材派遣会社の設立の場合には、資本金が2千万円以上(場合によっては1千万円以上又は5百万以上)ないと、許可が下りません。
よって、人材派遣会社の設立の場合には、最低でも2千万円程度の資金を確保しておく必要があります。
人材派遣会社の設立手続きの流れ
派遣元責任者講習の受講が終了し、必要な資金の収集が終了したら、人材派遣会社の設立が可能になります。
1,登記を行う
まず、会社の設立の登記を行い、会社を設立します。
その際、登記簿に記載される資本金の額は2千万円以上でなくてはなりません。
2,設立に伴う書類を提出する
会社設立が終了すると、税務署に対する法人設立届や給与支払事務開設届出書、青色申告承認申請書など行政庁に対する必要な届出を行います。
会社の設立当初から従業員を雇用する場合には、社会保険適用事業所届や従業員の健康保険者厚生年金保険の資格取得届、雇用保険・労災保険に関する手続きが必要になります。
3,労働者派遣事業許可申請を行う
そして、その後又はそれと同時に、厚生労働省に対して、労働者派遣事業許可申請を行います。
労働者派遣事業許可が下りると、人材派遣会社として営業が開始できます。
職業紹介会社について
一般に派遣会社と呼ばれている者には、上記の人材派遣会社と職業紹介会社があります。
職業紹介会社の設立する方法も、基本的には、人材派遣会社を設立する場合と同じです。
ただし、次に述べる3つの点において異なります。
- 派遣元責任者講習ではなく、職業紹介責任者講習であるということです。
- 資本金の最低金額が原則2千円ではなく、5百万円である
- 名称が、労働者派遣事業許可申請ではなく、有料職業紹介事業所許可申請である
許可を受けるための最低資本金額が低いので、人材派遣会社より職業紹介会社の方が設立がしやすいと言えます。
改正労働者派遣法について
平成27年9月に施行された改正派遣法では次のような改正がなされました。
- 事業所単位で3年の派遣制限期間を、個人単位で3年の制限期間とした
- 派遣期間が3年を超える派遣社員に対して、雇用安定措置が派遣元に義務付けられた
- 派遣労働者のキャリアアップのための支援が派遣元に義務付けられた
- 派遣労働者と正社員の均等待遇確保推進のための措置が強化された
まとめ
今回は、人材派遣会社を設立するにはどうしたらいいのかを考えていきました。
人材派遣会社は他業種と比べ様々な制限が課されています。
人材派遣会社を設立しようとする場合、労働者派遣法を熟知している必要があるでしょう。
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